ナノ加工 技術コラム

ナノ加工 技術コラム

ナノ加工 技術コラム

2026.10.22

なぜCOP・COCは、超精密切削加工において選ばれるのか?

レンズ用の透明樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)、ポリスチレン(PS)などがありますが、精密なレンズには主にポリカーボネートとアクリルが使用されてきました。その中でもアクリルは、透明度の高さや切削加工のしやすさから、透明樹脂の代表的な材料として長く使われてきました。1990年代まで、精密なレンズ用の樹脂の主な選択肢は2種類で、アクリルとポリカーボネート(PC)から選ぶ必要がありました。なぜこの2種類だけではなく、COC・COPという選択肢が必要とされたのでしょうか。

かつての選択肢、アクリルとポリカーボネート(PC)

超精密加工が扱う透明樹脂の世界では、長らくアクリルとポリカーボネート(PC)が主な選択肢でした。この2つの材料は性質が対照的で、用途によって明確に使い分けられていました。

アクリル(PMMA)

アクリルは透明性に優れた樹脂で、光線透過率は約91%とガラスと同等です。複屈折も小さく、光学特性に優れた素材です。硬度が高く切削性にも優れる一方で、耐熱性が低く、吸水性が高いというデメリットがあります。

PC(ポリカーボネート)

PCは耐熱性と耐衝撃性に優れた樹脂です。ただし複屈折が大きいため、複屈折の影響を受ける光学系などでは使用できないケースが多く、また靭性の高さ(粘り気)ゆえに切削性にも劣るという特徴があります。

つまり、過去の使い分けとしては、次のような基準で材料が選ばれてきました。

材料選定の基準

  • アクリルが適するケース:複屈折の影響を抑えたい光学系
  • PCが適するケース:複屈折の影響が問題にならない光学系/耐熱性が必要な光学系

ただし、複屈折の影響を抑えつつ、耐熱性も確保したいというケースでは話が変わってきます。アクリルを選べば耐熱性が不足し、PCを選べば複屈折が問題になる、どちらを選んでも要件を満たせないという壁に直面してしまうのです。

そこで誕生したのがCOC・COPという高機能材料

こうしたアクリルとPC、それぞれの弱点を乗り越えるために開発されたのが、COCとCOPです。COC・COPは吸水率が極めて低く、周囲の湿度環境が変化してもほとんど寸法が変わりません。

COC・COPが樹脂材料として普及し始めたのは、1990年代のことです。当時はまだ目新しい材料でしたが、現在では超精密加工分野の透明樹脂部品において、標準的な選択肢の一つとなっています。アクリルの吸水性、PCの複屈折という、それぞれの弱点をカバーした材料が登場したことで、樹脂の選定に大きな変化が訪れました。

切削性の面でも、COC・COPはアクリルに近い扱いやすさを持ちながら、PCのような「粘り気」による加工面の乱れが出にくいという特徴があります。

ちなみに、各材料の特性を簡単に比較すると下記の通りとなります。

なぜCOP・COCは、超精密切削加工において選ばれるのか? | 超精密 微細加工.com

※標準的なグレードでの比較です。耐熱グレードや成形条件によって評価が変わる可能性があります。

各樹脂材料の特性比較については、以前のコラム(超精密加工に用いられる主な樹脂材料の特性と比較)でも詳しくご紹介しています。

>>詳しくはこちら

まとめ

かつて透明樹脂は、大きくはアクリルかポリカーボネート(PC)かの2種類から選ぶ必要がありましたが、どちらも一長一短があり、特にアクリルの吸水による寸法変化は超精密加工にとって大きな課題でした。この弱点を克服する形で登場したCOC・COPは、今や超精密加工の透明樹脂部品における標準的な選択肢となっています。超精密 微細加工.comを運営するジュラロン工業株式会社では、こうした樹脂材料それぞれの特性を踏まえたうえで、お客様の求める精度・用途に最適な材料選定から加工まで一貫して対応しております。樹脂材料選定でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

>>お問い合わせはこちら

ナノ加工 技術コラム一覧 ナノ加工 技術コラム一覧 ナノ加工 技術コラム一覧

ナノ加工豆知識

超精密 微細加工について
お気軽にご相談ください

ナノオーダーの超精密加工技術で
お応えいたします。