ナノ加工 技術コラム

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2022.05.24

なぜ超精密加工品には無電解ニッケルめっきが施されるのか?

ナノオーダーの超精密加工が可能な材質は限られる

様々な材質への超精密加工を求められることがありますが、全ての材質に超精密加工が可能ということではありません。なぜなら、ナノオーダーの加工を実現するためには、ダイヤモンドバイトを使用する必要があり、そのダイヤモンドバイトで削られる材質は限られるためです。非常に硬度が高い素材として知られているダイヤモンドですが、加工時には化学反応による摩耗で、鉄を削ることさえできません。

【関連記事】なぜダイヤモンドでは鉄が削れないのか?

 

では、どうやって超精密加工を実現するのか?

超精密加工を行うためにはダイヤモンドバイトが必須ですが、ダイヤモンドバイトは鉄を削ることさえできないとなると、どのようにして超精密加工を実現すれば良いのでしょうか?

結論からお伝えすると、ワークの表面にNi-Pめっきを施すことで、超精密加工を実現することが可能となります。

Ni-Pめっきには、摩耗を抑制するために8〜10%ほどリンが含まれているため、ダイヤモンドバイトを用いて、安定的に超精密加工を行うことができます。

ただ、Ni-Pめっきの厚さにバラつきがあると、超精密加工品を製作することはできないため、均一にNi-Pを施す必要があります。そのために、用いられるめっき方法こそが無電解ニッケルめっきです。

 

無電解ニッケルめっき(Ni-Pめっき)とは

無電解ニッケルめっきは、外部電源を用いずに、化学的還元反応を用いてNi-Pめっきを施す方法のことです。使用されるめっき液には、次亜リン酸ナトリウムが含まれ、還元剤としての役割を果たしています。この次亜リン酸ナトリウムが、酸化される際に電子が放出され、ニッケルイオンが還元されることにより、対象物の表面にNi-Pめっきが析出されます。

無電解ニッケルめっきがある一方で、電解ニッケルめっきというものも存在します。これは外部電源により、めっき液中に電気を流すことで、ニッケルイオンを還元させ、対象物の表面にNi-Pめっきを析出させる方法です。

このように無電解ニッケルめっきと電解ニッケルめっきの2つが存在しますが、タイトルの通り、超精密加工には無電解ニッケルめっきが適しております。

それでは、なぜ無電解ニッケルめっきが超精密加工に適しているのでしょうか?

 

無電解ニッケルめっきが超精密加工に適している理由

無電解ニッケルめっきが超精密加工に適している理由としては、めっきの厚さが均一であることが第一に挙げられます。電解ニッケルめっきであれば、外部電源によるめっき液中の電流分布の影響により、めっきの厚さにバラつきが生まれやすいですが、無電解ニッケルめっきはその影響が無いため、対象物に均一なめっきを施すことが可能です。そのため、超精密加工が用いられるレンズ形状や非球面形状などの複雑形状に対しても、均一にめっきを施すことが可能です。

また、還元剤の量を調整することで厚膜のめっきを施すこともできます。

話は逸れますが、Ni-Pめっきは焼き入れにより耐摩耗性と硬度を向上させることが可能です。ただ、焼き入れ前と比べ、製品の表面が荒れてしまう恐れがあるため、超精密加工には適していません。

 

超精密加工において無電解ニッケルめっきを使用する上での2つの注意点

前述の通り、均一な厚さのめっきを施すことが可能なため、超精密加工に適している無電解ニッケルめっきですが、使用する上で2つの注意点があります。

 

めっきが付きやすい形状にしなければならない

1つ目は、めっきを施す対象物を、めっきが付きやすい形状にしなければならないということです。特に凹凸がある形状はめっき液が対流しにくいため、めっきが付きにくくなってしまいます。そのため、対象物をめっき液が対流することが可能な形状にしなければなりません。

 

硬度が低いため、使用箇所や取扱いに注意が必要

2つ目はNi-Pめっきは一般的な焼き入れ鋼材よりも硬度が低いため、使用箇所や取扱いに注意が必要だということです。金型の摺動部分のように硬度が求められる箇所で使用することは適しておらず、更には金型のメンテナンスをする際にも、ちょっとしたことで傷が付いてしまいます。例えば、Ni-Pめっきを施した箇所に付着した鉄粉を、布で拭き取ろうとすると、鉄粉により傷が付いてしまうことがあります。そのため、細心の注意を払ってメンテナンスをしなければなりません。

 

まとめ

ここまで無電解ニッケルめっきが超精密加工に適している理由について説明して参りました。

対象物の表面に均一にめっきを施すことができるため、無電解ニッケルめっきは超精密加工に適しています。ただ、無電解ニッケルめっきを扱う際にはめっき液の対流やNi-Pめっきの硬度に注意する必要があります。

超精密 微細加工.comを運営するジュラロン工業では、レンズ金型を始めとする様々な無電解ニッケルめっきの加工実績があります。膜厚は最大2mm、形状精度はPV0.1μm、コーナーRは2μmほどの対応が可能です。

最新の各種ナノ加工機に加えて、高度なナノ加工技術と加工プログラム技術で、ナノオーダーの超精密加工のご要望にお応えすることが可能ですので、是非お気軽にご相談ください。

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