ナノ加工 技術コラム

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2024.09.17

超精密加工とは? 加工の特徴や注意点について解説

超精密加工とは

超精密加工とは微細な寸法や形状が求められる部品の加工に使用され、ナノレベルの高い精度が求められる加工方法になります。超精密加工技術は光学機器、半導体製造や医療機器などの高度な精度の機器が必要とされる分野で広く利用されています。

ここまでの高精度な加工を行うためには特殊な工具と技術、加工工程全体において厳重な管理が必要になります。
当社では、超精密加工を可能にする環境が整っているだけでなく、様々な材料や形状に対して超精密な加工を施すことが可能です。

超精密加工と精密加工の違い

超精密加工を定義する際に、混合されがちな精密加工という言葉も存在しますが、一般的に「超精密加工」は「精密加工」よりもさらに精密な加工領域のことを指します。

サイズ、材質によって異なりますが、数字で定義すると、寸法精度が±2μm以下、面相度Ra1.6μm以下であるものが超精密加工と当社では定義します。

精密加工と超精密加工では寸法精度や面粗度はもちろん、精度面で大きな違いがあり、ナノレベルの精度が求められる加工部品で重宝される技術になります。

>>超精密加工と精密加工における加工領域の違い

>>超精密加工と超微細加工の違いとは?

 

超精密加工の特徴

 

注意点①:ダイヤモンドバイトを使用する

超精密加工の精度は様々なサイズ、形状、素材(アルミ・銅など)によって異なりますが、一般的な刃物ではここまで高精度な加工はできません。ナノレベルの超精密加工を実現するためには硬度・耐摩耗性に非常に優れているダイヤモンドバイトを使用することで非常に鋭利な刃先へと仕上げることが可能です。

>>なぜナノレベルの超精密加工ではダイヤモンドバイトが使用されるのか?

注意点②:ワークの表面にNi-Pめっきを施す

しかし、ダイヤモンドバイトで超精密加工を施すことができる素材は限られています。

例えば、鋼材をダイヤモンドバイトで加工するとなると鋼材の炭素とダイヤモンドの炭素の化学反応による化学摩耗とよばれる摩耗が発生してしまいます。

そこで摩耗を抑えるためにワークの表面にNi-Pめっきを施すことで、ワークの表面を均一化することができ、超精密加工を行うことが可能になります。

>>ナノ単位の面相度を実現する超精密旋盤加工について

>>なぜ超精密加工品には無電解ニッケルめっきが施されるのか?

ワークの表面に施す無電解ニッケルめっきによってその物質本来の特性ではなくなりますが、本来超精密加工が難しいステンレスなど様々な材質に対して超精密加工を行うことが可能になります。

>>ステンレスに0.001mm単位の超精密加工を施すためには?

超精密加工が求められる加工環境

前述にある通りダイヤモンドバイトを用いることで超精密加工を行うことが可能です。超精密 微細加工.comを運営するジュラロン工業では、一般的な超精密マシニング加工(穴加工・彫込み加工等)に用いられる「ダイヤモンドボールエンドミル」や、平面加工に用いられる「ダイヤモンドラジアスエンドミル」などを保有しており他にも超精密加工に不可欠な様々なダイヤモンド工具を活用しております。
下記にて当社が使用しているダイヤモンド工具を一部ご紹介します。

ダイヤモンドエンドミル

こちらはダイヤモンドエンドミルです。主に平面加工に用いられます。

V溝加工専用ダイヤモンドエンドミル

こちらは、V溝加工専用ダイヤモンドエンドミルです。その名の通り、V溝加工に用いられる工具です。ただし、V溝加工は、後述するVバイトで引き切り加工を行うケースもあります。

>>超精密加工に使用される単結晶ダイヤモンド工具

さらに当社では工具だけでなく、超精密加工を可能にする加工環境を整えております。

超精密な加工を施すためには加工時の振動を抑えることが非常に重要であるため、空気ばねを用いるパッシブダンパー、減衰力をコントロールするアクティブダンパー等を加工設備に搭載することで、外部からの振動を最小限に留め、安定して高精度な加工を行うことができます。

さらに、版上WIB工法により、振動対策を施し建設された工場内で超精密加工を行っています。

また、±0.1℃単位での温度管理や湿度管理をすることで材質の変化による加工精度への影響を最大限抑制することが非常に重要です。

>>ナノレベルの超精密加工を行うために求められる加工環境

 

そして実際の加工設備に関して、一般的な精密加工には、マイクロメーター、測定顕微鏡、三次元測定機が使われますが、超精密加工にはレーザー顕微鏡や形状・粗さ測定器、超精密3次元測定器などナノレベルの測定が可能な設備が不可欠となります。
下記にて実際に当社が保有している測定設備群をご覧ください。

レーザー顕微鏡

レーザー顕微鏡(KEYENCE製)は、微細形状のワークの測定に用いられます。分解能1nmで測定を行うことができ、ナノレベルの微小な形状変化であっても正確な測定が可能です。

 

原子間力顕微鏡(AFM)

原子間力顕微鏡(AFM)は、同じく微細形状のワークの測定に用いられます。Z軸方向への分解能0.02μmで測定を行うことが可能です。レーザー顕微鏡では測定できないレベルのZ方向精度の測定が可能です。当社では、多くの場合、溝形状の測定に使用しています。

形状・粗さ測定機(Form Talysurf)

形状・粗さ測定機(Form Talysurf)では、ワークの表面粗さ、輪郭形状等の測定を行います。当設備では、測定精度0.01μmで測定をすることが可能です。(2次元測定)

>>ナノレベルの超精密加工を実現するうえで、必要な測定設備

 

当社の超精密加工事例

ここで実際の当社の超精密加工事例をご紹介します。

高精度レンズアレイ金型

こちらはレンズ金型の加工事例になります。Ni-Pめっきを被削材とし、形状精度PV0.2μm、 ピッチ精度±0.0005mm(0.5μm)以下に加工した製品です。

>>詳しくはこちらから

フレネルレンズ金型

こちらはフレネル加工を施したVRレンズ金型です。ダイヤモンドバイトの形状、加工条件の最適化を図ることでR2μmのコーナーRと表面粗さRa2nmを実現しました。

>>詳しくはこちらから

まとめ

いかがでしたでしょうか。超精密微細加工.comを運営するジュラロン工業では、レンズや金型の超精密加工に関する多くの実績がございます。超精密加工に適した環境や加工設備を揃えているため、ナノレベルのご要望にお応えすることが可能です。超精密切削加工の委託先にお困りの方は、是非当社までご連絡ください。

 

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