ナノ加工 技術コラム
ナノ加工 技術コラム
2024.06.28
同心度1μm以下の超精密加工を 実現するためのポイント
超精密微細加工.comを運営するジュラロン工業では、nm(ナノメートル)台の超精密加工を行うことが可能です。例えば、同心度1μm以下という高度なご要望にもお応えすることができます。当記事では、この同心度に焦点を当て、同心度1μm以下の超精密加工を実現するためのポイントをご紹介します。
ちなみに、混同されがちな同心度と同軸度にはどのような違いがあるのか確認してみましょう。初めに同心度とは、製品を平面図形で見た場合の、2つの円筒の中心位置のずれ度合を指します。
次に同軸度とは、データム軸直線と同一直線状にあるべき軸線のデータム軸直線からの狂いの大きさのことを指し、円柱の軸の狂いの大きさのことになります。(※データムとは、加工や寸法測定をする際に基準になる面や線のことを指します。)
同心度1μm以下の超精密加工を実現するポイント
ポイント1:超精密微細加工機を使用する
一般的に、精密加工可能な旋盤加工機を使うと、同心度は5μm程度になります。同心度1μm以下の超精密加工を行うには通常の加工機ではなく、異なる超精密な加工設備が必要になるので、加工条件を最適化しても、超精密な設備がなければ1μm以下の同心度を達成することはできません。
ポイント2:ワンチャックで加工する
超精密加工において、加工時のズレを最小限に抑えることは非常に重要です。加工時に何度もワークの掴みかえを行うと細かい狂いが発生してしまうため、高い同心度を実現することができません。そのため、ワンチャックで加工を行うことが必要です。
ポイント3:ワークを掴みかえる場合は、専用治具で再現性を高める
しかし形状や素材によっては、ワンチャック加工ができずにワークを掴みかえる必要があります。その場合は治具を使用することによって製品加工の再現性を高めることが重要です。上記の通り、ワークの掴みかえ時に誤差が発生しやすいため、専用治具を用いて加工方法を固定化できることで1μm以内で再現し、生産性の向上を見込めます。
ポイント4:ワーク・治具の重量バランスを考慮する
同心度1μm以下の超精密加工を実現するには、加工時の振動を最小限に抑えることが極めて重要です。ワークや治具などの重量にわずかなバラつきがあると振動が発生するので、超精密加工においてはこれらの重量のばらつきが僅かでも、加工精度に大きな影響を与えます。したがって超精密加工では精密な測定器を利用して、ワークや治具の重量バランスを調整し、振動を最小限に抑える必要があります。
ポイント5:外部からの振動を遮断する
繊細で複雑な超精密加工には、加工時の振動を抑えることが重要ですが、これは加工設備内に限らず外部からの振動も考慮する必要があります。当社では、専用のダンパーを設置して地面からの振動を遮断し、また版上WIB工法を採用して振動対策を行った工場内で超精密加工を行っています。
ポイント6:超精密加工に適した素材を選定する
同心度1μm以下の超精密加工を達成するには、適切な素材の選定が不可欠です。最先端の設備や技術を有していても、超精密加工に不向きな素材を使用すると、同心度1μm以下の超精密加工を実現することが難しくなります。以下では、超精密加工に適した素材とそうでない素材を紹介します。素材の選定にお役立てください。
・加工できる材質:鉄(STAVAX等のSUS材)、アルミ、銅(無酸素銅)、樹脂(PMMA、COC、COP、PC、PEI 等)
・加工できない材質:鉄(ハイス鋼、ダイス鋼 等)、超硬素材、ガラス、樹脂(PP、PE等の一般的なプラスチック)
(※ただし、Ni-Pめっきが可能な素材は除く)
ポイント7:切れ味の良い工具を選定する
そして同心度1μm以下の超精密加工には、通常の工具ではなく、特別な工具が必要です。一般的な工具では刃先がガタガタになってしまうので、いくら綺麗に加工しても、同心度1μm以下を達成することが難しいのです。
同心度1μm以下の超精密加工なら当社にお任せください!
今回は同心度1μm以下の超精密加工を実現するためのポイントについて説明しました。
超精密 微細加工.comを運営するジュラロン工業では、最新の各種ナノ加工機に加えて、高度なナノ加工技術と加工プログラム技術で、ナノオーダーの超精密加工のご要望にお応えすることが可能です。また、当社では、お客様のご要望に応じて、加工時間削減・コストダウンのためのVA/VE提案もさせて頂きます。是非お気軽にご相談ください。
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