ナノ加工 技術コラム

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2022.01.31

ステンレスに0.001mm単位の超精密加工を施すためには?

耐食性、耐熱性、強度などにおいて、優れた性質を持つステンレス。この優れた性質により、レンズ金型を始めとする0.001mm単位の精度を求められる製品に用いられることも多々あります。しかし、全てのステンレスに、この超精密加工を施すことが可能であるかというと、実際はそうではありません。
今回は設計者・開発者の方々のために、超精密加工が可能なステンレスと、その加工形状について、説明します。

ちなみにステンレスとは、英語でstainless steelと表記され、stain=汚れ、錆、less=ない、steel=鉄、すなわち錆びない、錆びにくい鉄ということになります。

 

100種類以上に上るステンレスの種類

ステンレスは、日本工業規格(JIS)によると炭素含有量1.2%以下、クロム含有量10.5%以上の鋼材であり、耐食性、耐熱性、強度にも優れた材料です。炭素やクロム以外にも、ケイ素やニッケルなどの様々な成分を混ぜ合わせることにより作られるため、その成分の配分によって特性が異なります。

例えば鉄とクロムが主成分であるフェライト系ステンレスであれば、磁性を持ち、他のステンレスと比べ強度は低い反面、安価に手に入れることが可能です。代表的なフェライト系ステンレスの例としてはSUS430が挙げられます。SUS430は成分にニッケルが含まれておらず、炭素量およそ0.12%ほどとなっております。耐食性は比較的低いですが、加工性や価格に優れているため、様々な業界で幅広く用いられています。

フェライト系ステンレスの他にも、
炭素を多く含むため焼き入れが可能なマルテンサイト系、(代表品番:SUS403 炭素含有量0.15%以下)
延性や靭性に優れているため冷間加工性や溶接性に優れているオーステナイト系(代表品番:SUS304 炭素含有量0.08%以下)
などのステンレスが存在します。

このようにステンレスは「○○系ステンレス」というように分類されますが、これを更に分類すると、その数は100種類以上に上ります。

 

超精密加工が可能なステンレス

前章で説明した通り、100以上の種類を持つステンレスですが、全てに超精密加工を施すことは可能なのでしょうか?

結論からお伝えすると、全てのステンレスに超精密加工を施すことは不可能であり、超精密加工が可能であるステンレスにはある制約があります。

いったい、どのような制約があるのでしょうか?

前提として、超精密加工を行うためにはダイヤモンドバイトが用いられます。これは、超精密加工において刃先を鋭利に仕上げることができる材質、すなわちダイヤモンドを使用しなければならないためです。一般的な刃物は、顕微鏡などで拡大して見ると、刃先がガタガタであるため、超精密加工は実現できません。
 
しかし、ダイヤモンドバイトを使用する上で、被削材に炭素が含有していると拡散摩耗と呼ばれる現象によりダイヤモンドの表面が急速に摩耗してしまい、鏡面を得ることができません。
そのため、ステンレスに超精密加工を施すためには、連続ではなく断続的に切削する「振動切削」という加工法が用いられます。

【関連記事】なぜダイヤモンドでは鉄が削れないのか?

ただし、この加工法を用いても炭素含有量は何%でもよいということではなく、目安として0.5%以下である必要があります。
この条件を満たし、金型材料として広く用いられているステンレスが、
STAVAX(ウッデホルム)
HPM38(日立金属)
の2つ(何れもSUS420j2)です。

STAVAXとHPM38以外のステンレスにも超精密加工を施すことは可能ですが、炭素含有量0.5%以下という条件を満たす必要があります。
なお、振動切削という加工法を用いるため通常の加工に比べ加工工数が数倍に増え、その結果コストアップになってしまいます。
また、不連続的な加工面(矩形や四角錐のような角のある面)への対応は困難です。

 

炭素含有量の多いステンレスに超精密加工を施すためには

では、STAVAXとHPM38以外の炭素含有量の多いステンレスに超精密加工を施すことは不可能なのでしょうか?
不可能というわけではなく、ステンレスの上にNi-Pメッキ(無電解ニッケルメッキ)をかけることにより、多くのステンレスへの超精密加工が可能となります。
ただし、表面がNi-Pメッキ(無電解ニッケルメッキ)層となりますので、ステンレス本来の特性ではなくなってしまいます。

 

さいごに

ここまで超精密加工が可能なステンレスについて説明して参りました。

100以上の種類があるステンレスですが、基本的に超精密加工を施すことが可能なものはSTAVAXとHPM38などに限られます。
また、Ni-Pメッキをステンレスにかければ、多くのステンレスに超精密加工を行うことが可能ですが、耐久性が下がってしまうという難点もあります。

当社でお客様からステンレスの超精密加工に関するお話しをいただいた際には、上述の点をお伝えした上で、求められている寸法精度の程度や、必要であればNi-Pメッキをかけても問題ないかをお伺いした上で、加工方法を決めさせていただいております。

超精密 微細加工.comを運営するジュラロン工業では、最新の各種ナノ加工機に加えて、高度なナノ加工技術と加工プログラム技術で、ナノオーダーの超精密加工のご要望にお応えすることが可能です。

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