ナノ加工 技術コラム

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2026.08.25

なぜ樹脂の方が、無電解ニッケルめっきを施した金属より精度が出ないのか?

超精密加工では、金属だけでなく樹脂材料への加工のご相談も数多くいただきます。しかし、金属と樹脂で同じ精度をご希望されても、樹脂の方が精度が出づらいというケースが少なくありません。

そこで今回は、無電解ニッケル-りんめっきを施した金属と比較して、なぜ樹脂は超精密加工において精度が出づらいのか、その理由について詳しくご紹介します。

弾性・熱膨張が精度を左右する

超精密加工では、形状精度がナノレベルで求められるため、被削材そのものが持つ「弾性」と「熱膨張」の性質が、加工精度に大きく影響します。

無電解ニッケル-りんめっきを施した金属は、硬度が高く弾性変形が小さいため、切削時の刃物の圧力や加工中に発生する熱による寸法変化が起こりにくいという特長があります。そのため、ダイヤモンドバイトによる切削加工との相性がよく、ナノレベルの超精密加工を安定して実現することが可能です。

一方、樹脂材料は金属と比較して硬度が低く、また弾性変形が大きく、熱による膨張・収縮の影響も受けやすい性質を持っています。切削時にわずかな圧力が加わるだけでも被削材がたわみやすく、刃物が離れた瞬間に形状が戻ってしまう「スプリングバック」と呼ばれる現象が発生しやすいため、狙った寸法・形状精度を安定して出すことが難しくなります。

樹脂の中でも加工が難しいポリカーボネート(PC)

樹脂材料の中でも、ポリカーボネート(PC)は特に精度が出づらい材質として知られています。

ポリカーボネート(PC)は、高い耐衝撃性、透明性、耐熱性を備えた熱可塑性樹脂として、光学部品や電子機器部品など幅広い用途で使用されている優れた材料です。しかしその一方で、超精密切削加工の観点からは、他の樹脂材料(アクリルやCOP等)に比べても加工が難しい部類に入ります。

理由は、耐衝撃性のあるポリカーボネートが持つ「粘り気」

ポリカーボネート(PC)が超精密加工において精度を出しにくい最大の理由は、その優れた耐衝撃性を生み出している分子構造にあります。

PCは非常に高い靭性(粘り気)を有しています。この「粘り気」こそが優れた耐衝撃性を実現している一方で、超精密切削加工の際には次のような弊害を引き起こします。

  • PCは靭性が高いため、切りくずが刃先できれいに破断せず引きちぎられるように分離し、加工面に「むしれ」や「バリ」が発生しやすい
  • 切りくずの分離に大きなエネルギーを要するため発熱量が多く、加えて樹脂は熱伝導率が低いため、熱が切削点近傍にこもりやすい
  • この局所的な温度上昇が加工中の寸法変動に直結し、ナノレベルで寸法・形状精度が不安定になる

このように、耐衝撃性という優れた特性の裏返しとして、超精密加工においては精度を出しにくいという課題を抱えているのがポリカーボネート(PC)という材質なのです。

まとめ

樹脂は金属に比べて弾性率が低く熱膨張の影響を受けやすいため、切削時のたわみや戻りによって精度が出づらくなります。特にポリカーボネート(PC)は、優れた耐衝撃性の裏返しである「粘り気」が原因で、削り屑の分離不良や加工中の振動・発熱を招きやすく、金属以上に加工条件の見極めが求められる材質です。

超精密 微細加工.comを運営するジュラロン工業株式会社では、長年積み上げてきた豊富な超精密加工のノウハウにより、金属はもちろん、PCをはじめとする樹脂材料に対してもナノレベルの超精密加工をご提供しております。樹脂の加工精度に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

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