ナノ加工 技術コラム
ナノ加工 技術コラム
2026.03.12
マイクロレンズアレイ金型の超精密加工を行うためには?
マイクロレンズアレイは、光学機器やセンシング用途などで高い性能を発揮する重要な光学部品です。本記事では、マイクロレンズアレイのレンズ形状の対応範囲から、超精密加工における特徴までを解説し、高精度な加工を実現するためのポイントを紹介します。
マイクロレンズアレイとは?
マイクロレンズアレイとは、小さな単レンズを縦横方向に多数配列したレンズ構造のことを指します。一般的には、単レンズの外径がφ1mm程度以下の微小サイズのものが多く、その見た目から「フライアイレンズ(ハエの目レンズ)」と呼ばれることもあります。
主に照明用の光学系で活用されており、ひとつの光源を複数の二次光源へ分割し、それぞれの光束を重ね合わせることで、ムラの少ない均一な照明光を得る目的で使用されます。
マイクロレンズアレイ金型の超精密加工を行うためには?
ポイント①:ダイヤモンドエンドミルを使用する
ナノレベルの超精密加工を行うためには、一般的な刃物は使用できません。なぜなら、一般的な刃物では、刃先を顕微鏡などで確認すると刃先がガタガタになっており、このような刃先では当然ながらナノレベルの超精密加工は実現できないためです。
ナノレベルの形状を正確に削り出すために、工具には地球上で最も硬度が高い物質であるダイヤモンド、その中でも特に「単結晶ダイヤモンド」で作られたエンドミル(刃物)が使用されます。単結晶ダイヤモンドエンドミルを用いることにより、ナノレベルの精度を実現でき、各レンズの均一性を保つことができます。
ポイント②:無電解ニッケルめっき(Ni-Pめっき)を活用する
前述の通り、ナノオーダーの加工を実現するためには、ダイヤモンドエンドミルを使用する必要があり、そのダイヤモンドエンドミルで削られる材質は限られています。では、どうやって超精密加工を実現するのでしょうか。
超精密加工を実現するためには無電解ニッケルメッキを金属加工部品の表面に行うことで、化学的に均一な被膜を形成します。無電解ニッケルめっきは、電流を使用せずに化学反応を利用してワークの表面に均一な厚さのめっきを行うことが可能です。そのため複雑な形状のワークに均一にめっきを行い、超精密切削加工を行うことで高い形状精度を持った加工が可能となります。
>>なぜ超精密加工品には無電解ニッケルめっきが行われるのか?
また、要求される精度によっては、めっき処理を行わない場合もあります。工具にはダイヤモンドエンドミルを使用し、焼き入れ材において求められる高精度加工にも対応可能です。超精密マシニングセンターを用いることで、Ra20nm以下の表面粗さでの加工を実現できます。
ポイント③:超精密切削加工機を使用する
「刃先が鋭利なダイヤモンドエンドミルさえ使えば、超精密加工は実現できる」—そう考える方も少なくないかもしれません。しかし、その考えは必ずしも正しくありません。仮に、超精密加工機ではない「通常」の切削加工機でダイヤモンドエンドミルを用いた場合、たとえ最高の工具を使っても、ナノオーダーの精度を得ることは極めて困難です。スピンドルの回転精度や駆動軸の振動等により、ダイヤモンドエンドミルにチッピングが発生し、ナノオーダーの精度を得ることはできません。
つまり、どんな機械でもダイヤモンドエンドミルを使用すれば、超精密切削加工を実現できるわけではないということです。最高の素材(Ni-Pめっき)と最高の工具(ダイヤモンドエンドミル)があっても、それを活かす「超精密加工機」がなければ意味がありません。
>>どんな機械でも、ダイヤモンドエンドミルを使用すれば、 超精密切削加工を実現できるのか?
マイクロレンズアレイ金型の加工事例をご紹介
フライアイレンズ金型

こちらは、Ni-Pめっきを施した材料を被削材として使用し、形状精度0.5μmという高精度で加工したレンズ金型の事例です。単レンズを縦横に規則的に配置したレンズ構造(マイクロレンズアレイ)となっており、その外観がハエの複眼に似ていることから「フライアイレンズ」と呼ばれています。拡散性の高い光源であっても光を均一に整えることができるため、プロジェクターなどの照明光を形成する用途で用いられます。プロジェクタやヘットマウントディスプレイ等について数多くの実績がございますので、超精密 微細加工.comを運営するジュラロン工業株式会社までご相談ください。
マイクロレンズアレイの加工は超精密微細加工 .comにお任せください
当社の超精密加工では、最新の超精密切削加工機と振動抑制・温度管理が徹底された環境を用いることでpv0.2μmレベルの金型精度を実現することが可能です。また、超精密3次元測定機(UA3P-4)をはじめ各種測定器を完備しているため、 高品質なマイクロレンズアレイ金型の製作が可能となります。
今回は、マイクロレンズアレイの超精密加工技術についてご紹介しました。超精密微細加工.comを運営するジュラロン工業株式会社では、幅広いマイクロレンズアレイを手掛けてきた実績・ノウハウを活かし、高品質なマイクロレンズアレイを製作します。
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