ナノ加工 技術コラム

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2022.09.20

ナノ単位の面粗度を実現する超精密旋盤加工について

超精密旋盤加工の定義と用途

超精密旋盤加工とは、ナノ単位の精度で旋盤加工を施すことを指します。主にナノ単位の面粗度を必要とする場合に用いられる加工方法であり、下記画像は実際に当社が超精密旋盤加工を施した事例となります。ワークサイズΦ60mmのポリカーボネートに対し、超精密旋盤加工を施すことで、切削のみで面粗度Ra0.8nmを実現しております。

樹脂切削レンズ

https://ultra-high-precision.com/products/383/

上記の画像の通り超精密旋盤加工の主な用途はレンズ関係であり、フレネルレンズや非球面・球面レンズ、レンズ金型などに用いられています。

 

超精密旋盤加工は一般的な工具では実現できない

超精密旋盤加工を行うために用いる工具は、超硬やハイスなどの一般的なものではなく、特別なものが必要とされます。これは一般的な刃物の刃先は一見鋭利に見えますが、顕微鏡などで拡大すると決して鋭利にはなっておらず、このような刃先ではナノ単位の面粗度を実現できないためです。したがって、刃先を鋭利に仕上げることができ、輪郭精度の高い加工が可能なダイヤモンドバイトを使用する必要があります。また、ダイヤモンドバイトを用いて超精密旋盤加工を施す際は、高い面粗度を実現するために少しずつゆっくりと加工が行われます。1つの製品の加工に1日以上の時間を必要とすることもあり、その間にダイヤモンドバイトは次第に摩耗していきます。そのため、摩耗に合わせた加工を機械にプログラムする必要があります。

 

超精密旋盤加工が可能な材質は限られる

前述の通り、加工の際にダイヤモンドバイトを使用する必要があるのですが、このダイヤモンドバイトで削ることができる材質は限られ、鋼材を直接加工することはできません。これは鋼材の炭素とダイヤモンドの炭素の化学反応による化学摩耗とよばれる摩耗が発生してしまうためです。そのため、ダイヤモンドバイトの摩耗を抑えるために、Ni-Pめっきの上から加工を行う必要があります。ただ、超精密旋盤加工においては振動切削という加工方法を用いることができるため、SUS420J2に対しても加工が可能です。

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また、樹脂材料においては、COC、COP、PC、PEI、PMMA等に対して加工を行うことができます。

 

超精密旋盤加工による面粗度と、手磨きによる面粗度の違い

ナノ単位の面粗度を実現する方法として超精密旋盤加工について解説しましたが、これ以外にも手磨きによってナノ単位の面粗度を実現することも可能です。手磨きは超精密旋盤加工よりも高い面粗度を実現できますが、人の手による加工であるため製品の形状は安定しません。そのため、光学特性が求められる製品であれば、手磨きよりも超精密旋盤加工のほうが形状精度と光学特性が共に安定します。ただ前述の通り、面粗度においては手磨きに軍配が上がります。

 

まとめ

ここまで超精密旋盤加工について説明してまいりました。

ナノ単位の面粗度の実現が可能な超精密旋盤加工は、レンズをはじめとする様々な製品に用いられています。ただ、超精密旋盤加工が可能な材質は限られ、工具の摩耗を考慮した加工を行う必要があります。

最新の各種ナノ加工機に加えて、高度なナノ加工技術と加工プログラム技術で、ナノオーダーの超微細加工のご要望にお応えすることが可能ですので、是非お気軽にご相談ください。

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