
ナノ加工 技術コラム
ナノ加工 技術コラム
2025.10.20
自由曲面加工の加工が難しい理由から当社の加工事例をご紹介
自由曲面形状は、対称性のない、単純な式で表すことができない形状で、その複雑さから非常に加工難易度が高い形状です。本記事では、自由曲面形状の定義、加工難易度が高い理由から当社の加工事例をご紹介します。
自由曲面形状とは
自由曲面形状は、球面や平面、あるいは軸対称な非球面といった定義や単純な数式では表すことができない、複雑な形状であることが多いです。
また、自由曲面は、工具が届かない急峻な傾斜、局所的に曲率が大きく変化する部分など、複雑な形状を含んでいることがあるため、通常の単純な形状の加工に用いられる切削加工などでは、必要な精度を確保することは非常に難しいと言われております。
主に、下図のような形状が自由曲面形状にあたります。
自由曲面加工が難しい理由
次に自由曲面加工が難しい理由について解説いたします。
複雑なプログラム・高精度な位置合わせが必要
自由曲面加工は、一般的な幾何学形状の加工とは異なり、形状が単純な数式で定義できないため、加工プログラムが非常に複雑になりやすいです。また、加工時において、複雑な形状により、工具をワークの基準に合わせることが困難なケースが多いです。そのため、設計通りの自由曲面形状を実現するには、「加工のプログラム」から「実際の加工」まで高精度な位置合わせが必要になります。
非球面レンズなどと比較して、中心位置がわからないため測定が困難
自由曲面の加工が難しいもう一つの理由として、加工精度を保証するための測定が非常に難しいという点です。非球面レンズの場合、回転中心軸という基準が存在するため、この軸を基準に形状を測定することが可能です。しかし、自由曲面にはこのような明確な回転中心や対称軸といった幾何学的基準が存在しないため、測定が難しい点が加工難易度の高さの理由として挙げられます。そのため、測定データを反映させるフィードバックの難易度も高くなりやすいです。
当社の自由曲面形状の加工事例
トーリックアルミミラー
こちらのトーリックアルミミラーは、A1070(純アルミ)を用いて製作した製品です。最大の特長は、3軸の同期加工によって加工時間を大幅に削減している点にあります。マシニングセンタによる5軸加工では同等の鏡面品質を得るまで約350時間を要しますが、3軸同期加工を用いることでわずか約9時間で仕上げることが可能です。
自由曲面加工なら超精密微細加工.comにお任せください
今回は、自由曲面加工の加工ポイント、当社の加工事例をご紹介しました。超精密微細加工.comを運営するジュラロン工業株式会社では、自由曲面加工の豊富な実績がございます。お困りの方はお気軽にご連絡ください。
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