ナノ加工 技術コラム

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2025.06.20

超精密加工においてアクリルが選ばれる理由

アクリルは透明性の高さや耐候性、加工性など多くの特徴があり、ディスプレイ機器、ケースだけでなく、レンズやプリズムなど幅広い分野で使用されています。本記事では、アクリルが超精密加工に求められる理由、特徴などについてご紹介します。

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超精密加工にアクリルが選ばれる理由

透明性の高さ

アクリルの最大の特徴として、透明性の高さが挙げられます。可視光の透過率が92%ほどと言われているアクリルは、ガラスと同等、またはそれ以上の透明性の高さを持つことで光学性能が求められる部品において特に重宝されています。

たとえば、レンズやプリズムなどの光学部品では、わずかな光のロスや歪みが性能低下につながるため、加工後も透明性を維持できるアクリルは重要な役割を果たします。また、より透明性を挙げる手段として、超精密切削加工を行うことで、手磨きでは実現できない高い平面度や面精度を確保することが可能です。

複屈折が小さい

複屈折とは、光が異なる方向に屈折してしまう現象を指しますが、光学機器などではこの複屈折の大きさがノイズや誤差の原因になることがあります。

しかし、アクリルは他の透明樹脂と比較しても複屈折が小さく、光の直進性や安定性を維持しやすい特性があります。

加工性が優れている

加工性の高さもアクリルの大きな特徴の一つです。アクリルは、切削性に優れており、ダイヤモンド工具を用いた超精密切削加工により透明度が維持しやすく、他の光学用樹脂材料と比較して良好な表面粗さを得ることができます。

 

アクリル材料のデメリット

吸湿性が高い

アクリルは透明性や加工性に優れる一方で、PCやCOCなどと比較して吸湿性が高いというデメリットがあります。湿度の変化により、寸法や屈折率がわずかに変動する可能性があります。そのため、吸湿による変形や光学特性の変化を防ぐため、保管や加工時には乾燥状態を維持するなどの対策が必要です。

耐熱性が低い

アクリルのもう一つのデメリットとして耐熱性の低さが挙げられます。一般的にTg(ガラス転移温度)は100℃前後であり、100℃を超える温度では形状の保持が難しくなります。そのため、高温環境下での使用には不向きであり、使用環境の温度条件を十分に把握する必要があります。

アクリルを用いた超精密加工事例

マイクロ流路

こちらは、分析装置に用いられる分析チップやセンサー用チップとして使用されるマイクロ流路で、被削材にはガラス、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリル樹脂(PMMA)などが使われています。流路寸法は幅1mm、深さ0.2mmで加工されており、流路の形状が複雑だったり、深さに制約がある場合などは、加工難易度が高くなることがあります。こうした背景から、金型を使わずに、直接切削や卓上型マシニングセンタによる加工で対応しています。

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切削プリズム

こちらの切削プリズムは、アクリルやポリカーボネート、COC、COPといった樹脂素材を用い、形状精度1μmという高精度で加工されたものです。主にウェアラブルグラスの構成部品や各種センサー部品として使用されます。最大の特長は、手作業による研磨では実現が難しい、1μm以内という極めて高い平面度を実現している点にあります。

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アクリルの超精密加工は超精密微細加工 .comにお任せください

いかがでしたでしょうか。今回はアクリルの超精密加工における特徴についてご紹介しました。超精密微細加工 .comを運営するジュラロン工業株式会社アクリルを含めた様々な材質の超精密加工実績がございます。お困りの方はお気軽にご相談ください。

 

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